まさかまさかの---?

まさかまさかの—?01 realReal





「彰ちゃん!橘が来たっすよ!起きて起きて!」
「あーダメ、眠い。」
「なんだ、疲れてんのか?」
「え。」
「あ、迅さん!」
「え、ちょ、コラ----やややめろー!」







3日前のチュー事件から







どうも西本の様子がおかしい。







「このっ---エロガキーー!!」
「ガキじゃない。」
「じゃあエロだ!エロ!」
「それは否定しない。」
「や、やめろー!!」





一体何に目覚めたのか。

いきなりチューをぶちかまされたのが3日前。





それからというもの・・・





「こっちに来い。」
「イヤだ。」
「来い。」
「だからイヤだ!」
「・・・ったく。」
「え!ちょ!ちょっとー!」
「え、えぇぇ!何があったんすか迅さーん!」
「目覚めたんだろ、恋に。」





人前だろうが二人きりだろうが関係ない。
家だろうが学校だろうが全く関係ない。

頭、髪、顔、特に頬。

時間があれば触ってくる。
なでなでポンポンやってくる。




「やややめろ!」
「イヤだ。」



聞く耳持たず!



「なんで触るんだよ」
「触りたいから。」



答えになってない!



「黒田!アラタ!助けろ!」
「無理。」
「無理っす!」



役立たずが!







「どうしたー佐野。随分疲れてるみたいだけど大丈夫か?」
「・・・もうダメです。」
「明日は文化祭だぞ。とりあえず明日いっぱい耐えろ。」
「・・・努力します。」






そんなこんなで今日も疲れた。




現在、放課後前のホームルーム。
やっと帰れるやっとゆっくりできる。





「明日の段取りは分かってるな?」
「「はーい!」」
「ちなみに売り上げ成績が一番良かったクラスには何かプレゼントがあるそうだ。」
「「「えー!やったー!」」」





そういえば明日は文化祭。


私はドリンクショップの販売員をやる。

「ミニスカートにカチューシャ!」と主張するエロ担任の意見を女子一同、一致団結で無視。

結局、制服にエプロンスタイルで満場一致。





「ま、プレゼントって言っても多分賞状だと思うけど・・・がんがん働いてばんばん稼ぐように。以上。」
「「「さよーならー」」」
「はーい、さよなら。」




さてさて帰りましょうか!





「橘に用がある。ちょっと待ってろ。」
「え?ああはいはい。」





立ち上がろうとしたら西本に止められた。

文化祭のことだろうか。

担任の方へ歩いていく西本。
前から思ってたけど足が長いよね。





(文化祭ねぇ・・・)





何度も言うが明日は文化祭だ。

初めのころはまさか文化祭に参加するなんて思ってなかったがまさかが起きた。

まぁお祭りは大好きなんで。
明日は楽しく参加しよう。




それにしても





「ねぇねぇ聞いた?A子って彼氏と文化祭回るらしいよぉ!」
「えー!いいなぁ・・・私も好きな人と回りたい。」





クラスの女子が騒いでいる。



---文化祭は好きな人と



これってやっぱり高校生の一大イベントなんだな。

ここ2.3日のうち同じような会話を何度耳にしたことか。
うーん、青春だね。





「好きな人かぁ。一緒に回ってくれないかな西本君・・・」
「え!西本君のこと好きだったの!?」
「うん。」
「実は・・・私も。」
「えー!」





・・・恐るべし西本。






「ほら、帰るぞ。」
「え?あ、ああ・・・」




くいっ、と腕を引かれた。

見上げると西本。
どうやら用は済んだらしい。





「じゃ、帰りましょうか---」

「いいなぁ佐野さん。いつも西本君といるよね。」
「だよねぇ。あの二人、付き合ってるのかなぁ・・・」





(え!!)





思わず固まった。
だって聞き捨てならない言葉が聞こえた!





「ちょちょちょっと君たち!私とこいつはそんなんじゃむぐぅっ!!」





目にもとまらぬ速さ。
もはやこいつは私の口をふさぐプロだ。






「え?」
「な、なに?」

「・・・なんでもない。」

「え----!?」
「うそっ---西本君が喋っ・・・」

「「きゃーーーーー!!!」」






歓喜の叫びを背中に受けて引きずられるように教室を出た。

まぁ・・・良くあることだ。
この際気にしないでおこうと思う。