誰か、ウソだと言って

誰か、ウソだと言って01 realReal


「・・・食ったら帰れよ。」
「え、なんで。」
「帰れ。」
「嫌だ。」





現在午後8時過ぎ。

現在地は我が家の隣の西本家。

そして仏頂面の西本と対面し、テレビを見ながらチャーハンを食べている。









「何が睡眠不足だぁ?あんだけ寝といて何言ってんだ!帰りたいならもっと上手い言い訳考えろ!よって早退は却下!」

by橘



というわけで

昼間は結局早退することが出来ず、仕方なく少年少女と共に授業を受けた。

高2の勉強ってこんなに難しかったっけ、なんて思った。




そして数時間前、なんとか学校を終わらせ無事に自宅(仮)に帰ってきた。




そしてしばらくの間、部屋の中を物色。




引き出し、タンス、押入れの中・・・
まるでこそ泥のように物色した。





「うわ、ちょっとこれ・・・懐かしい!」



タンスの中にはなぜか見覚えのある服が入っていた。



「あー!無くしたと思ってたのに!」



引き出しからは無くしたはずのアクセサリーが出てきた。





結論から言おう。





この部屋には「高校生の私」が使っていた物がうじゃうじゃ埋まっている。




なんで?
そんなの分かるわけが無い。





「へぇ、懐かしいな。」





昨日からのミラクル続きでちょっとやそっとじゃ驚かなくなった私。

懐かしい私物を目の前にちょっぴりいい気分。
そしてまた物色再開。





---ガチャ、バタン





「お!」





しばらくすると隣の家のドアが開いて閉まった。

つまり、西本帰還。






「西本ーー、開けてー。」






ひとまず物色中断。

腹も減ったし、協力者・西本と親睦を深める為にも一緒にご飯を食べようと思う。



玉ねぎ、ニンジン、卵などなど。
なぜか冷蔵庫に入っていたそれらを持参し、西本家のチャイムを押した。



ちなみに西本はバイトをしているらしい。

学校帰り一緒につれて帰ってもらおうと思ったら「バイトがある」と断られた。



勉強もバイトもこなすとは正に文武両道。
性格に問題有りだが実は頑張り屋さんなのかもしれない。





「おーい、早く開けろー。」





それにしても遅い。
着替え中か?


それとも・・・




「まさか居留守のつもりか?帰ってきたのは分かってんだぞ。」




・・・・・。




「・・・よーし分かった。今夜は永遠に玄関を---」




ガチャ・・・


言い切る前に玄関が開いた。
そしてちょっとだけ開いた隙間からこっちを覗く西本。




「おいおいマジで無視してたわけ?それはさすがにショックだわ。」
「・・・なんの用だよ。」
「ほら!」
「・・・。」
「ご飯、まだだろ?」
「・・・入れ。」





食材を見せると素直に招き入れてくれた。

なんだお前。
意外に単純なんだな。