「うわ・・・こ、こんなにお客さん入ってんのかよ。」
遼「俺らもビッグになっただろ?」
「・・・やっぱ私、出たらダメなんじゃね?」
遼「今更なに言ってんだ。」
本日、ライブ当日。
現在開演10分前。
そんな緊張ドキドキタイムに私は一体何をしているかというと
遼と一緒にこそこそと会場を覗き見していたりする。
「しばらく参加してなかったうちにRYOもビッグになったんすねぇ。」
遼「ほんとにねぇ。」
「リーダーこんななのにねぇ。」
遼「こんな言うな。」
FORMが来るってのはシークレットらしいからな。
この目の前の現実は全てRYOの人気の反映だ。
冗談抜きでマジすげぇ。
「こりゃ緊張しちゃうぞ。」
遼「嘘付け。」
「私だって緊張することもある。」
遼「見えねぇなぁ。」
「あー、ドキドキする。」
出番は後の方なんだけどな。
今のうちから手に汗握る。
遼「それにしてもお前、やっぱり可愛い衣装着なかったのか。」
「着るわけねぇじゃん今更。もう男でも女でもどっちでもいいわ。」
遼「あーあ、見たかったなー。」
「見らんでいい。」
肩を落として残念がる遼。
期待に沿えなかったようで申し訳ありませんがね。
今はお前に構ってる場合じゃねぇんだよ。
もうすぐ始まっちまうし
お客さんの数半端じゃねぇし
・・・逃げ出そうかな。
こう見えて結構なチキンハートなんすよ自分。
遼「よし、そろそろ皆のとこ戻るぞ。」
「え・・・・・・お、おす。」
逃げ損ねてしまった。
遼の後ろにくっついて行く。
きょろきょろ周りに目を向けると・・・
そういや舞台裏スタッフも多いんだな。
こりゃ気合入れないと。
失敗して潰すわけにはいかねぇな。
(頑張れ、YUKI!)
『頑張るぞー、おー。』
RYOのメンバーはいつもの掛け声で一球入魂。
キラキラ輝くスポットライトの下に飛び出して行った。
いやいや・・・前から思っていたがなんだその腑抜けた掛け声は。
あまり気合が入っているようには見えない。
まぁ仕方ないか。
リーダーがあいつだからな。
(・・・・・・・・・ふぅ・・・)
ライブ
始まっちゃいましたよ。