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香「明日は祝日!会社も休みー!嬉しい~!」
直「今日は彼氏とデートじゃなかったんですか?」
香「それがさぁ・・・明日仕事が入っちゃったみたいで。残念ながらデートはキャンセルなんだ。」
直「そうだったんですか。」
現在、午後9時。
明日は祝日でお休みってことで。
薄暗いカウンターに香織と直樹と横並び、ちびちびと酒を飲んでいる。
香「だから今日は飲むぞー!ちゃんと付き合ってね、直樹!」
直「そのつもりです。」
香「透もだよ!」
「へいへい。」
香「ヘイは一回!」
「へーい。」
本当は家でまったりしていたかったが「久々に3人で飲みに行こう!」と香織に強制召集された。
つまり彼氏のドタキャンのとばっちりだ。
葵「3人が揃うなんて久々っすね!」
香「そうなの!直樹が仕事忙しくてさぁ。」
直「もう落ち着きましたよ。」
香「透は最近デートが忙しいし・・・付き合い悪いんだよねぇ。」
直「・・・・・・・・・・・。」
葵「デデ、デート!?」
「デートじゃない。」
ちなみに現在地はBar・Blue Hawaii
葵が働く店だ。
前々から思っていたがカキ氷が欲しくなる名前だな。
葵「デートってまさか!透さん、彼氏できたんですか!?」
「は・・・?」
香「違うよ葵くん!実はね---」
「香織ちゃん、ストップ。」
香「あ、ゴメン。」
直「・・・・・・・・。」
またしてもうっかり口を滑らせるところだった香織。
うっかり者のお前も可愛いが今はあいつらの話題は勘弁してくれ。
直「透さん、大丈夫ですか?」
「な、なんだよ急に。」
突然視界に入ってきた直樹。
ビックリしたぞ。
直「なんとなく元気ないなと思って。」
「そ、そっか?」
香「あ、私も思ってたんだ!透、最近元気ないよね!溜め息ばっかりついてるし・・・」
「そ、そんなことないぞ!元気元気!」
隣の直樹はぐいぐい顔を覗き込んでくる。
その隣の香織は身を乗り出してきた。
なんだよお前ら、心配してくれてんの?
葵「そういえば透さん元気無いっすね!何かあったんすか?」
「そういえばってなんだ。わざとらしいんだよ。」
葵「そそ、そんなー!」
お調子者め。
心配するなら真面目に心配してくれ。
直「でも、本当に大丈夫ですか?何か悩んでるとか・・・」
香「うそ!悩みがあるの!?」
葵「悩み!?透さんが!?」
「葵・・・」
葵「いいいや!すみません!」
コノヤロー。
「とにかく悩みなんてないよ。心配してくれてサンキュ。」
慌てる葵と心配そうな顔をする2人に無理矢理グラスを合わせて乾杯。
そして一気に酒を流し込んだ。
なんだかんだ言ってお人好しな奴らだな。
心配してもらえて少しくすぐったい。
香「もう・・・透はすぐ一人で悩むんだから。何かあったら言ってよ?」
「うん、言う言う。」
絶対だからね!とニッコリ笑う香織。
お前は本当に可愛いね。
お花のようだよ。
香「そういえば聞いてくれる?」
直「なんですか?」
葵「彼氏さんのことですか?」
香「そうなの!この前さぁ---」
話題が香織の彼氏のに移った。
ホッとしてタバコに火をつけ、ゆっくりと紫煙を吐く。
(私が、悩んでるって?)
そりゃあ、悩んでるよ。
しかもめちゃくちゃ悩んでるよ。
まぁ、相談できるような内容じゃないのだけれども・・・
「はぁ・・・」
直「?」
悩みの原因?
そんなの言うまでも無い。
俺様、晋のせいだ。
「チッ----」
直「透さん?」
事の発端は3日前の朝。
つまり晋の家に拉致された日の翌朝のこと。
「・・・・・・・。」
晋「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
晋「・・・・・・・。」
「-----え。」
晋「・・・・・・・。」
目覚めの気分は上々だった。
どちらかというと爽やかな朝。
しかし見知らぬベッドに寝ていて、目の前にはビューティー色男。
そしてそいつと至近距離で目が合えばさすがに焦る。
「おぉおはよーございます!」
晋「・・・・・・。」
「うぉ!あ、ごごごめん・・・」
晋「・・・・・・。」
慌てて起き上がった。
つられてヤツもノソッと体を起こす。
寝不足だろうか、なんとなく顔色が悪い。
ちなみに自分の手が晋の服を握っていたことに驚愕。
電光石火で手を離した。
「・・・・・・。」
晋「・・・・・・・。」
「・・・・・・。」
晋「・・・・・・・。」
え、えーと・・・
なんで一緒に寝てんだっけ?
ていうかいつ寝たんだっけ?
寝起きのせいか、全く頭が働かない。
「---!うおぁっ!」
ふと視線を下に落とすと貧相なマイボディーが目に飛び込んできた。
正に露出狂もビックリのチャック全開状態。
もちろんミラクルスピードで閉めた。
「・・・あ、あの。」
晋「・・・・・。」
「もしかして昨日---」
晋「ヤってねぇ。」
「そ、そっか。」
良かった。
どうやらヤってないらしい。
「・・・・・・・・。」
晋「・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
晋「・・・・・・。」
それにしてもなんなんだこの空気は。
気まずい、半端無く気まずい。
押しつぶされそうだ。
「え、えーと・・・」
晋「・・・・・・。」
「な、なんでベッドに寝てたんだっけ?」
晋「・・・・・・。」
勇気を出して話しかけてみた。
しかし、返事がない。
「し、晋?」
晋「・・・・・・。」
「晋様?」
晋「・・・・・・。」
な、なんかマジで気まずい。
まるでケンカ中のカップル。
いや、別れ話がもつれにもつれた彼氏彼女の空気のような・・・
「か、帰ろっかな・・・」
晋「は?」
「いや、帰るわ。」
晋「・・・・・。」
逃げようと思った。
これ以上この空気には耐えられない。
寝起きで頭も働かないし昨日何があったのかもはっきり思い出せない・・・
とにかく家に帰ろう。
そして落ち着いて思い出そう。
「じゃ、じゃぁな!」
そうと決まればさっさとずらかろう。
そそくさとベッドをおりる。
そしてドアに走った。
いや、走ろうとした。
晋「待て、透。」
「------わっ!」
手首を掴まれ体がガクッと傾く。
反射で晋の方へ視線を移した。
(え・・・・・?)
その時のヤツの顔が、頭から離れない。
心底困ってるような
何かに傷付いているような
私って、何か悪いことしちゃったか?
そう思わせるような、辛そうな表情・・・
(な、なんで・・・?)
なぜか、激しい罪悪感に襲われた。
「----ぅりゃっ!」
晋「痛っ・・・」
これ以上目を合わせていられなかった。
そして無意識にヤツの手を叩き落し、ドアに向かって走った。
「おいコラ待て」と声が背中にぶつかる。
バカかお前は。
待てと言われて待つバカがどこにいる。
ついでにヤツの追撃を防ぐ為たまたま目に入ったクッションを思い切り投げつけてやった。
おそらく命中したと思う。
そしてリビングに駆け込み、ヤツに借りてたパンツを履いて---
「おおお邪魔しましたー!」
カバンを掴んで外に飛び出した。
その後、真っ直ぐ帰宅。
そして色々と思い出した。
晋に迫られたことも
意識が堕ちたことも
晋が背中をさすってくれたことも思い出した。
そして、激しく落ち込んだ。
「・・・恥ずかし過ぎる。」
素っ裸を見られて触られたのは置いといて。
なぜ私はあの状態で爆睡したんだ?
忍の夢から覚めた時、目の前にいたのが晋で酷く安心したのは覚えている。
だがその後爆睡ってあんた・・・
有り得ない。
それに、朝ベッドで寝てたってことは晋が運んでくれたんだろうな。
そういえば起きた時ヤツの服を掴んでなかったか?
まさか一晩中あの状態だったなんてこと・・・
「あぁぁー!」
マジで恥ずかしすぎる。
穴があったら飛び込みたい。
とりあえず恥ずかしさを紛らわす為、枕に数回パンチを入れた。
「そういえば・・・なんで晋はあんな顔してたんだ?」
ふと、さっきの晋を思い出した。
柄にもなく辛そうな顔をしてたが・・・
昨日は普通だと思ったけどな。
間違いなくいつも通りの俺様っぷりだった。
もしや私が寝ている間に何かあったのか?
あの俺様を傷つけるような何かが?
(ん、んー・・・?)
ちょっと待て、まさか---
私が何かやらかした、とか?
いや無い、有り得ない。
私に限ってそんなこと・・・
(・・・・・・・・・。)
なんか
罪悪感が半端じゃないんだけど。
「あーくそっ!ワケ分からん!」
以上、3日前の出来事だ。
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