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「んッ・・ぁ、あっ---!」
「------ッ・・」
「俊っ・・・は、ぁッ・・!」
「・・・・・・・・。」
「あ、ぁ・・・んぅっ!!」
激しい律動と早まる鼓動に
だんだん息が苦しくなる。
そして快感に煽られるまま絶頂を迎える寸前
目の前の男はグッと腰を押し付けて
最奥を突いたまま動きを止めやがった。
「ゃっ・・・あ---深、い・・!」
「茜、こっち向け。」
「・・っ----ッ・・・」
「茜。」
少し体を起こして見下ろしてくる俊。
そして私の頬を指でなぞり顎を持ち上げ、不適な笑みを浮かべて囁いてくる。
「イク時は、俺を見ながらイけ。」
毎度毎度ふざけてると思う。
でも悔しいけど・・・
こいつが与える快感に犯され続けた体は、驚くほど従順に命令を受け入れる。
「ぁ---あぁっ・・・俊ッ・・!」
「・・・・・ッ・・」
「ゃあっ・・・激し---ッ!」
「茜・・・目ェ逸らすな---」
「あ、ぁ・・ぁあッッ--------------ッ!!」
ビクビクと痙攣しながら俊を締め付ける。
背中が弓なりに反り返り、ひときわ大きく体が震えた。
同時に放たれた熱い飛沫。
そして収まりきれなかった快感が一気に溢れて
俊を見つめたまま、目の前が真っ白になった。
「・・・なんで泣くんだよ。」
酸欠の頭に響く聞きなれたセリフ。
どうやら私は、今日も泣いているらしい。
涙の理由?
それは・・・
------------不器用な大人たち
「ねぇ。」
「・・・なに。」
「・・・もう、会うのやめよっか。」
「・・・は?」
情事の後、お互い余韻に浸ることなくシャワーを浴び、適度に身だしなみを整えて部屋を出た。
「じゃあね」とか「またな」とか
いつもならそんな言葉を掛け合ってホテルを後にするのだけど
「会うのやめるって、なんで。」
「それは・・・」
私たちの場合、「飽きた」って言うのが自然な別れ文句なんだろうけど
あいにくそんなウソを貫き通すプライドは持ち合わせてない。
---あんたのこと、好きになっちゃったから
もちろん、そんな恥ずかしい本音をぶちまける勇気もない。
「まぁ・・・ もともと曖昧な関係だったし。」
「・・・・・。」
「こんな関係になって長いでしょ?そろそろ潮時かなって。」
「・・・・・。」
ホテルの前の小道で向かい合い、頼りない街灯に照らされた俊を見上げる。
---顔を見るのもこれで最後
そう思うとこの綺麗な顔を目に焼き付けておこうと食い入るようにガン見してしまう。
「潮時ってなんだよ。他に気に入った男でも見つけたのか?」
急に告げられた終わりに納得できなかったのか
それともジッと見つめたのが不快だったのか
眉根に力を入れて睨まれた。
ていうか他に男?
バカだね、そんなのいるわけない。
「・・・そんなとこ。」
ま、本音なんて言えるはずもないんだけど。
「・・・今までありがと。」
「・・・・・。」
「・・・じゃあ。」
「・・・・・。」
車が通る度はっきり見える俊の顔。
ライトに照らされた彼はなぜか厳しい表情で
何も言わない俊に別れを告げて背を向けた後も
最後に見たその表情が、目に焼きついて離れなかった。
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