開始

開始—–1 GAME


香「透~今日終わってから付き合わない?」

「・・・・・ごめん。今日は予定があって。」

香「そうなんだー。残念。」

「本っっ当に残念だよ。」

 




本日、水曜日。

天気は晴天。



だが・・・・・心には台風が直撃。

激しくブルーだ。

 




香「どうしたの?なんだか元気ないね。」

「分かる?分かってくれるか?」

香「う、うん。」

 




なぜブルーなのか。



それはもちろん・・・

あいつから連絡があったからだ。

 




-----昨晩。

 



PIPIPIPI-----

 




「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 




風呂から上がると携帯が震えていた。




 

(ふっ・・・まさか。いやいや無い無い。)

 




日曜にあんなことがあってからふと考えた。

 



あれは夢だったんじゃないか・・・と。

 



そうだ夢だ。

最悪な夢を見ていたんだ。


だって真面目に生きてるんだぞ。

その私に限って・・・ねぇ?

良かったー、夢で。



そう思ってたのに…

 



[進藤辰巳]

 



ディスプレイには悪魔の名前。

どうやら夢じゃなかったらしい。

 



PIPI・・・・




 

「・・・・・・・・・・・・・・。」




 

しばらく携帯を見つめていたら・・・切れた。

ホッとした。

もう掛けてくるなと思った。

 



PIROPIROPIRO---

 



着信音とは別の音が鳴る。

これは・・・メールだ。

恐る恐るメールを開くと-----

 


進藤辰巳
---------------
無視すんな。
---------------


 

まるで私を見ていたかのような一言。

そして、すぐにまた着信。

 




「・・・・・なんですか。」

辰『やっぱり無視してたな。』

「・・・・見てたんですか。」

辰『え!本当に無視してたわけ!?透ちゃん酷い!』

「・・・・・・・・・・・・・。」

 




なんなんだこの男は。

 




「・・・何か用ですか。」

辰『明日、仕事何時に終わる?』

「なんで。」

辰『あいつらと顔合わせしようと思って。』

「・・・・・・。」

 




顔合わせと言うと打ち合わせっぽく聞こえるが

こいつが言ってるのはくだらんゲームの顔合わせだ。


出来れば・・・

いや絶対行きたくない。

 




「明日は残業で遅くなります。多分明後日も明々後日もその次も。」

辰『じゃぁいいよ。帰ってくるまで家の下で待ってる。』

「5時に終わります。」

辰『素直だねぇ。』




 

ある意味脅迫じゃないか。

この調子で会社の場所まで吐かされた。

そして極めつけは




 

辰『会社に迎えに行く。』

 




馬鹿言うな---

と言い切る前に電話が切れた。


掛け直しても無視。

10秒後に「迎えに行くからね~」とメールで通知。

なんて自由なヤツだ。

少しは私の都合も考えろ。

 


というわけで

 




香「何かあったの?」

「あったっていうか今からあるというか。」

香「なにそれ。」

 




相談してもどうにもならない。

そもそも相談するのもバカバカしい。

 




香「ねぇねぇ透。昨日彼氏がねぇ----」

 




そういえば香織は彼氏と仲直りしたらしい。


香織とは職場も同じ。

現在休憩室で一服中だ。

 




香「あー、今日もあと少しで終わる~嬉しい~」

「あー、今日も終わってしまう。残業したい。明日も明後日も残業したい。」

香「えー!?どうしちゃったの!仕事に目覚めたの!?」

「夢なら覚めて欲しい。」

香「ワケ分かんない!」

 




冷め切ったコーヒーを飲み干しデスクへ戻る。

あぁ・・・いつもはなかなか進まない時計が有り得ない速さで進んでいく。

あと一時間。

あと30分。

あと15分・・・

 




香「終わったー!」

「ああぁぁー終わっちゃったぁ!!」

 




私の人生も終わった。

 




香「透はどこに行くの?一緒に出よう?」

「え・・・あ、あぁちょっと待って。」

 




そういえばどうすればいいんだ?

終わる頃に連絡するって言ってたけど・・・

もしかしてメールが入ってるとか。

携帯を確認す----

 




「・・・・・・・・・・・・。」

 




手の中の携帯が震える。

 




ヤツから電話だ。